妄想オムライス
床下は骨伝導 ワ((゚゚дд゚゚ ))ワワ !!!!!



読んでみた 浄瑠璃絵草子:夏祭浪花鑑

浄瑠璃絵草子:夏祭浪花鑑 コマ5 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2539799


徳兵衛が思惑を厭い お辰が見目良きゆえ
磯之丞は預けられぬと言う

釣り船の三婦 中山新九郎

一寸徳兵衛女房お辰
磯之丞を連れ帰らねば一分立たずと
顔に焼き鉄(がね)をあてる

大出来 沢村国太郎

三婦娘おつぎ驚き  佐野川花妻
駆け寄り至りつ


釣り船の三婦 二人の悪者をひしぐ

新九郎

こっぱの権(ごん) 
なまの八
佐賀右衛門に頼まれ
琴浦を貰わんと来たり 締め上げらるる


(左端上に)高津祭り





(右下・前頁「こっぱの権」つづき)
せんま の姿にて来り踏まるる 権十郎

(右上・前頁「高津祭」つづき)
早や入りの提灯
祇園囃通る

舅義平次
琴浦を騙り 連れ来たり
団七に呼びかけられ
琴浦を帰し
あとにて様々
打擲する

長町裏の体

浅尾為十郎

団七九郎兵衛
打擲に合い のち誤って
舅に手をかかせ 是非無く
切り殺す

中山文七 大出来 大出来

駕籠の者 三婦が内へ
駕籠を急ぐ


 


★「せんま」をコトバンクで引くと、大辞泉と大辞林で見解が異なっている。


デジタル大辞泉の解説
せんま
1 江戸時代、大坂の天神祭りなどで、巫女(みこ)に扮(ふん)してこっけいなしぐさをした者。
2 子供をののしっていう語。
 「―の形(なり)をそのままに」〈浄・浪花鑑〉
 「あの―め、仕様がある」〈浄・歌祭文〉


大辞林 第三版の解説
せんま
ゞ畧ぁぢ膾笋療型精廚覆匹膿製などに扮し鼓を打って滑稽なまねをした者。
 「 −の形なりをそのままに/浄瑠璃・夏祭」
∋匐,鬚里里靴辰討いΩ譟
 「あの−め,仕様が有る/浄瑠璃・新版歌祭文」



草紙の絵ではこっぱの権は子供のなりをしているように見える。






 

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読んでみた 冥途の飛脚-道行相合かご
『冥途の飛脚』
梅川 忠兵衛 相合かご 下之巻
 http://www.enpaku.waseda.ac.jp/db/joururibon/gazo_j.php

すいちょうかうけいに まくらならべしねやの内
なれしふすまの夜すがらも 四つもんのあと
ゆめもなし さるにても我つまの あきよりさきに
かならずと あだし なさけの世をたのみ 人をたの
みのヲつなきれて よはのなかどもひきかへて 人めの
せきにせかれゆくきのふのまゝのびんつきや かみの

わげめのほつれたを わげてしんじよとくしを取 手
さへなみだにこゞえつきひえたる あしをふともゝに
あひやひごたつあひごしの かごのいきづえいきてまだ
つづく命がふしぎぞとふたりがなみだ こぼれくち
わけぬあひだはしばしとて かごのすだれをあげて
さへひざくみかはすかごのうちせばきつぼねのあかし
よの あふせににたはにたれ共すみのうづみ火いつしかに

あしたのしもと をきかへてよはのあらしによばれては こたふる
のべのかぶろ松すぎし その夜が思はれて いとゞ涙の
たねならん 何くど/\と思ふぞや これぞ一れんたく生
となぐさめつ又なぐさみに ひよくぎせるのうすげ
ふりきりもたへ/\゛はれわたりむぎのはゞへにかぜ
あれてあさでのしづや火をもらふ 野もりが見るめ
はづかしと かご立させてひまをやり あたひのつゆも

いのちさへおしからぬ舟はおしからずなをもおしまぬ
かちはだし おしむはなごり斗ぞやついにきなれぬわた
ぼうし わしがかほよりこなさんの はだにこれをと
かぜふせぐびらりぼうしのむらさきや いろであひしは
はやむかし けふはしんみのめをとあひ たのまばね
がひかのえかのえさるかうしんだうよとふしおがみ ふり
返り見るしやうまんのあいぜん様にあいきやうを

いのるしばいの子供衆や だうとんぼりのいろ/\や
なれしくるわのそれぞとは もんでおぼえしちやうちんの
なかにはかなやつちやうち 此もつかうにうちそひて
わたしかもんの松かはの 松のちとせをいのりしに さだめぬ
ちぎりちやうちんのきゆる いのちのゆふべには此もん
つけて家中の きやうかたびらとくはんねんし めいどの
道を此やうに手をひかふぞやひかれふと 又とりかはし

なくなみだ そでのこほりととぢあへり たがせきすへ
ぬみちなれど とひ/\ゆけばはかゆかば けさの
すがたをそのなりにすあしにせきだしみづけば そらに
みそれの一くもりあられ まじりにふくこのはひら
り ひら野にゆきかゝり こゝはしる人おほければ こちへ
/\と袖おほひ さとのうらみちあぜみちをすちり
もぢりてふぢいでら あれ/\あれを見や とこ

のいなかも恋の世や せどになをつむ十七八か門に立
たは忍びのつまかえ 野風身のとくこちはいらしやんせ
えよそのむつ事ねたましく それ覚えてかいつの事
かのはつ雪のあさごみに ねまきながらにをくられし大
もんぐちのうすゆきも 今ふりゆきもかはらねどかはりはて
たる身のゆくえ われ故そめていとほしやもとのしらぢ
をあさぎより 恋はこんだの八まんにきしやうせいしの

ふでのばち そなたをよけてとなくなみだ しばし人めの ヤゆ
るしはあれど 申是なふさりとては わしが身とてもまゝ
にはとすえはなみだにはてしなくのべの 三つおりしぼる
にもすそにやつるゝ をざゝはら しもにかれのゝすゝき
はらばう/\ さら/\さつとなつたはわれをおつてのたづ
ぬるよと おほひかさなりかげかくし ふりさけ見れば
人にはあらで つまこひ鳥のはをとにおぢる身と成は いか

なるつみのむくひぞと くどきなげきてゆくすがた
なくかわらふかとんだばやしのむらがらす せめて一夜の
心なく とがむこえのたかま山あのかづらきのかみ
ならでひるのかよひぢつゝましく 身をしのぶ道こひの
みち われ からせばきうき世のみちたけのうち峠
そてぬれて いはやごへとていしみちや野こへ
やまくれさと/\゛こへてゆくはこひゆへ

〽すめる世の おきてたゞしくきないきんごくにをつ手
かゝり中にもやまとはしやうこくとて 十七けんの飛脚
どひ屋あるひはじゆんれいふる手かひ せきぞろにばけ
て家々をのぞきのからくりあめうりと 子供にあめを
ねぶらせてくちをむしるやわなのとり あじろの魚の
ごとくにてのがれがたなき命なり むさんやな忠兵衛
われさへうき世しのぶ身に 梅川がふうぞくの人の

めだつをつゝみかね かりかごに日を送り奈良のはた
ご屋みわの茶屋
五日三日夜をあかし廿日あまりに
四十両 つかひはたして二歩残るかねもかすむやはつ
せ山
よそに見すてゝおやさとのにのくちむらにつき
けるが 是お梅 こゝは我生れざいしよはたちまで
そだつて覚えしが しはすのはてに此ごとく 諸くはんじん
しよあきんど春とてもないこと あれあそこにも立って

いる野はづれにも二三人 むなさはぎもしてきた四五
町いけばほんのおや 孫右衛門の家
なれ共不通といひ
継母なり 此わらぶきは忠三郎とて下作あてた小百姓
はらの中からなじみ頼もしい男先こゝへとうちつれ
忠三郎・・・



 もうつかれちゃった〜ここまででいいや。漢字に訳さなくちゃならないし。



(翻刻)
翠帳紅閨に枕並べし閨の内
なれし襖の夜すがらも 四つ門のあと
夢もなし さるにても我が妻の 秋より先に
必ずと あだし 情けの世を頼み 人を頼
みのつきなれて 夜半の中どもひきかえて 人目の
関に急かれ行く昨日のままの鬢付きや 髪の

分け目の解れたを 分けてしんじょと櫛を取り 手
さえ涙に凍えつき冷えたる足を太腿に
相合炬燵相輿の かごの息杖生きてまだ
続く命が不思議ぞと二人が涙 河堀口
別けぬ間は暫しとて駕籠の簾を上げて
さえ膝組み交す駕籠の内 せばき局の明かし
夜の逢瀬に似たは似たれども 炭の埋み火いつしかに

明日の霜と置き換えて夜半の嵐に呼ばれては 答うる
野辺の禿松 過ぎしその夜が思われて いとど涙の
種ならん 何くどくどと思うぞや これぞ一蓮托生
と慰めつ又慰みに比翼煙管の薄煙
霧も絶え絶え晴れ渡り麦の葉生えに風
荒れて朝出のしづや火を貰う 野守が見る夢
恥しと駕籠立たせて暇をやり あたいの露も

命さえ惜しからぬ舟は押しからず尚も惜しまぬ
徒裸足 惜しむは名残ばかりぞや ついに着なれぬ綿
帽子 わしが顔よりこなさんの肌にこれをと
風防ぐびらり帽子の紫や 色で逢いしは
早や昔 今日は親身の夫婦愛 頼まば願い
庚猿 庚申堂よと伏し拝み ふり
返り見る勝曼の愛染様に愛嬌を

祈る芝居の子供衆や 道頓堀の色々や
慣れし廓のそれぞとは 紋で覚えし提灯の
中に儚や槌屋内 この木瓜に打ち添いて
わたしが紋の松皮の松の千歳を祈りしに 定めぬ
契 提燈の消ゆる命の夕べにはこの紋
付けて家中の経帷子と観念し 冥途の
道をこのように手を引こうぞや引かりょうと 又取り交し

泣く涙 袖の氷と綴じ合えり たが関据え
ぬ道なれど問い問い行けばはか行かば 今朝の
姿をそのなりに素足に雪駄しみづけば 空に
霙の一曇り霰混じりに吹く木の葉 ひらり
平野にゆきかかり ここは知る人多ければこちへ
こちへと袖覆い 里の裏道畦道を すじり
もじりて藤井寺 あれあれあれを見や どこの

田舎も恋の世や せどに菜を摘む十七八が門に立っ
たは忍びの妻かえ 野風身の毒こち這入らしゃんせ
え余所の睦言妬ましく それ覚えてかいつの事
かの初雪の朝ごみに 寝巻きながらに送られし大
門口の薄雪も 今降り雪も変わらねど 変わり果て
たる身の行方 われ故染めて愛おしや もとの白地
を浅黄より 恋は誉田の八幡に起請誓紙の

筆のばち そなたを避けてと泣く涙 暫し人目のヤ
赦しはあれど もうしこれのうさりとては わしが身とてもまま
にはと 末は涙に果てしなく野辺の三つ折り絞る
にも裾にやつるる小笹原 霜に枯野の薄原
茫々さらささらさっとなったは我を追手の尋
ぬるよと 覆い重なり影隠し ふりさけ見れば
人にはあらで 嬬恋鳥の羽音に怖じる身となれば いか

なる罪の報いぞと 口説き嘆きて行く姿
泣くか笑うか富田林の群鴉 せめて一夜の
心泣く 咎む声の高天山 あの葛城の神
ならで昼の通い路慎ましく 身を偲ぶ道恋の
道 われ からせばき浮世の道 竹内峠
袖濡れて 岩や越えとて石道や 野越え
山暮れ里々越えて行くは恋ゆえ

〽住める世の掟正しく機内近国に追手
かかり 中にも大和は生国とて十七軒の飛脚
問屋 あるいは巡礼古手買い せきぞろに化け
て家々を覗きのからくり飴売りと 子供に飴を
ねぶらせて 口をむしるや罠の鳥 網代の魚(うお)の
如くにて逃れがたなき命なり 無惨やな忠兵衛
我さえ浮世忍ぶ身に 梅川が風俗の 人の

目立つを包みかね 借り駕籠に日を送り奈良の旅籠
屋 三輪の茶屋
五日三日夜を明かし二十日あまりに
四十両使い果たして二歩残る金も霞むや初瀬
よそに見捨てて親里の新口村に着き
けるが これお梅 ここは我が生まれ在所二十歳(はたち)まで
育って覚えしが 師走の果にこの如く 諸勧進
諸商人 春とても無いこと あれあそこにも立って

いる野外れにも二三人 胸騒ぎもしてきた 四、五
町行けば本の親孫右衛門の家なれども 不通といい
継母(けいぼ)なり この藁ぶきは忠三郎とて下作あてた小百姓
腹の中から馴染み頼もしい男 先ずここへとうち連れ
忠三郎・・・


 あー疲れた。二日かかった。


河堀口 庚申堂 勝曼の愛染さま 道頓堀 槌屋(新町) 藤井寺 
誉田の八幡 富田林 高天山(金剛山) 葛城山 竹内峠 大和 
奈良の旅籠屋 三輪の茶屋 初瀬山 新口村 孫右衛門の家








 

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読んでみた 山の段


妹背山婦女庭訓 三の切 山の段
 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/856604


古の神代の昔山跡(やまと・大和)の国は
都の始めにて 妹背の始め山々の
中を流るる吉野川 塵も芥も
花の山 実(げ)に世に遊ぶ哥人の 云の



葉(言の葉)草の捨て所 妹山は太宰の
小貮(しょうに)国人の領地にて 川へ見越
の下館 背山の方は大判事清澄
の領内 子息清船日外(いつぞや)より爰に
勘気の山住居 伴う物は巣立ち鳥

谺(こだま)と我と只二つ 経読む鳥の音も
澄(すみ)て 心細くも哀れなり 此は弥生の
初めつかた こなたの亭(ちん)には雛鳥
の気を慰めの雛祭り 桃の節
句の供え物 萩のこは飯(いゝ)嬪(こしもと)の 小菊



桔梗が配膳の腰も すふはり春
風に柳の 楊枝はし近く ノウ小菊
いつものか雛は御殿でおまつり
なさるれど 姫様のおしつらいで
此山岸の仮座敷 谷川を見はらし

桜の見飽き 雛様も一人お気が晴れて
よかろうの こちらも追ッ付けよい殿御
持ったら 常住(じょうじゅ)あの様に引ッついて居
たら嬉しかろ ノウ桔梗の何いやるやら
何ぼ女夫(みょうと)並んで居ても あの様に



行儀畏まってばかり居て 手を握る
事さえならぬ 窮屈な契りはいや
肝心の寝る時は離ればなれの箱の
中(うち) 思いの絶える間はあるまいと あだ
口にも雛鳥の 胸にあたりの人目

せく つらい恋路の其の中に親と
親とは昔より 御中不和の関と
成りあう事さえもかた糸の むす
ぼれとけぬ我が思い 恋し床しい
清船様 此山のあなたにと聞いたと



便り母様へ お願い申してこの仮屋 お顔
が見たさの出養生 爰までは
来たれ共 山と山とが領分の 境
の川に隔てられ 物いいかわす事
さえもならぬ我が身のままならぬ

今は中々思いの種 いっそ隔て
恋詫びる 遁れぬ昔がましぞ
かしと 切なる思いかきくどき 嘆ば
傍に嬪共 お道理でござります
ほんにひょんな色事で 隣同士


 ★以下床本画像省略


の紀伊の国大和 御領分のせり合いで
お二人の親御様はすれ/\ 雛鳥様
と久我様の 妹背の中を引分ける
妹山背山 船も筏も御法度で
たったこの川一つ つい渡られそうな

物 小菊瀬踏して見やらぬか ヲゝ
めっそうな この谷の逆落し 紀
州浦へ一てきに流れて居たら
鮫の餌食 したが申し雛鳥様
お前の病気をお案じなされ

この仮屋へ出養生さしなさったは
よそながら久我様に おまえを
遭わす後室様の粋(すい)なお捌き
女夫にして下さりませと 直(じき)に
お願い遊ばしたら よもやいや

とは岩橋のわたる事こそならず
共 せめて遠目におすがたをと
障子がらりと 縁端(えんはな)に覗き
こぼるるこしもと共 久我之助は
うつうつと父の行く末身の上を

まもりせ給えと心中に 念悲(ねひ)
観音の経机 案じ入りたる顔
かたち 手に取り様に ノウあれあれ
机にもたれて久我さまの 物
思わしいお顔持ち お癪かな起り

つらん エエお傍へ行きたい コレ爰に
居るわいなといえど 招けど谷
川の漲る音に紛れてや 聞え
ぬつらさ エエしんき こちらが思う
ようにもない コレこっちや向いて

見たがよいと あせるお傍に気
のつき/\゛ ほんにそれよ 口で
言われぬ心のたけ 兼てしたため
奥山の鹿の巻筆封じ文
恋し小石にくくり添え 女の念
の通ぜよと祈願を込めて打つ礫(つぶて)
からりと川に落ち瀧津波に
せかれて流れ行く EEどんな
心の念は届いても 女力の届
かねば思うたばかり片便り 返事を

松浦小夜姫の 石に成り共なり
たいと ひれ伏す山のかいもなき
久我之助川に目を付け いずく
よりか水中に打ったる石は重
けれど 逆巻く水の勢いに 沈み

もやらず流るるは ムム重き君も
入鹿という逆臣の水の勢い
には 敵対がたき時代の習い
それを知って暫しの中 敵に従う
父大判事様の心 善か悪かを

三つ柏 水に沈めば願いかなわず
浮かむ時は願成就 吉野を仮
の御禊(みそぎ)川 太神宮へ朝拜せんと
柏の若葉摘み取って 谷をつたいに
水の面(おも) 見やる女中が申し/\

今の小石が届いたか 久我様が川へ
下りなさるる あの岩角のおり曲がり
が 川端のいっち狭い 幸いのよい逢
瀬と いうに嬉しさ雛鳥の飛び立つ
ばかり振袖も 裾もほらほら坂道を

折から風に散る花の 桜が中の立ち
姿 しどけ難所もいといなく ノウ
久我様かなつかしやと 云うに思わず
清船も 雛鳥無事でと顔と顔
見合わすばかり遠間(とうあい)の 心ばかりが

いだき合う 詮方涙先立り 申し
清船様 わしゃお前に遭いたさに
病気といい立て爰迄はきて居れど
親の許さぬ中垣に忍んで通う事
叶わず 女雛男雛も年(とし)に一度は

七夕の おうせは有るにこの様に お顔見
ながら添う事の ならぬは何の報いぞや
妹背の山の 中を隔つ吉野の 川に
鵲(かささぎ)の 橋はないかとくどき事 聞く清船
も楫(かじ)有らば 早や渡りたき床しさを 胸に

包みて道理/\ 我も心は飛び立てど この
川の法度厳しきは親々の不和ばかりで
ない 今入鹿世を取りて 君臣上下
心々 隣国近辺といえ共親しみ有らば
徒党の企て有らんかと 互いに通路を

戒めて船を留めたるこの川は 領分を
分ける関所も同然 命だに有るならば又
遭う事も有るべきぞ 今流したる水の
柏波にもまれて浮かみしは 心の願い叶う知らせ
入鹿が掟厳しければ我も世上を憚っ

て この山奥の隠れ住み心の儘に鶯の
声は聞け共籠鳥(ろうちょう)の 雲井をしたう
身の上を 思いやられよ雛鳥と 儘なら
ぬ世を恨み泣き ノウ又遭う事も有ろうとは
別るる時の捨て詞 譬え未来のとと様に

御勘当受ける共 わしゃお前の女房じゃ
扨も叶わぬ浮世なら 法度を破ってこの
川の 早瀬の波もいとうまじ 何国いか成る
方へなと連れて退いて下さんせ わたしは
そこへ行きますと 既に飛び込む川岸に

あわて驚きとどむる嬪 イヤイヤ放しやと泣き
入る娘 ヤレ短慮なり雛鳥 山川のこの早
瀬 水練を得たる者だに渡り難きこの
難所 忽ち命を失うのみか母後室に
嘆きをかけ 我にも弥(いよいよ)憎しみかかる

科に科を重ねる道理必ず早まり召され
なと 制する詞一すじに 思い詰めたる女
気も命今更よわる折こそ有る 大判事
清澄様御入なりとしらする声 はっと
驚き久我之助帰るを名残り おし

とむるも我身の儘ならず コレ
のう待っての声ばかり 後室様御出と
告げる下部に詮方も なくなく庵の打ち
しおれ登る坂さえ別れ路(じ)は 力難
所を行く心地空にしられぬ花ぐもり

花を歩めど武士(もののふ)の心の険阻力
して 削るが如き物思い 思いおうせ
の中を裂く 川辺伝いに大判事清
澄 こなたの岸より太宰の後室
定高にそれと道分けの石と意地とを

向かい合う 川を隔て 大判事様 お役
目御苦労に存じます と声掛けをかい
取りの夫の魂放さぬ式礼 清澄
も一揖(いちゆう)し 早かりし定高殿 御前を
下がるも一時 来る所も一つなれ共 この背

山は身が領分 妹山は其元(もと)の御支
配 川向かいの喧嘩とやら 睨み合って日を
送るこの年内 心解けるか解けぬかは 今日
の役目の落居(らっきょ)次第 二つ一つ勅命 狼
狽(うろたえ)た捌き召さるなと?(まじろ)く しやつく茨

道 脇へかわして仰せの通り 入鹿様の
御諚意は お互いに子供の身の上 受け
合うては帰りながら 身腹分けても心は
別々 若しあっと申さぬ時は マアお前
にはどうしょうと思し召す 知れた事 御前で

承った通り 首打ち放すぶんの事さ
不所存な?(せがれ)は有って益なく のうて
事かけず 身の中の腐りはそいで
捨つるが後の養生 畢竟(ひっきょう)親の子のと
名を付けるは人間の私 天地から見る

時は 同じ世界に涌いた虫 別に不便
とは存じ申さぬ ハテきつい思し切
私は又いこう(いかふ)了簡が違います
女子の未練な心からは 我が子が可
愛(かわゆう)て成りませぬ 其かわりにおまえの

御子息様の事は 真実何共存じま
せぬ 只大切なはこちの娘 忝い(かたじけない)入鹿様
のお声のかかった身の幸い 譬えどう
申そう共 母が勧めて入内させ お后(きさき)様
と多くの人に 敬い傅(かしず)かそうと思えば

この様な嬉しい事はござりませぬ ホホホ・・・
と空笑い ムム シテ又得心せぬ時は
ハテそりゃもう是非に及ばぬ 枝ぶり
悪い桜木は 切って接ぎ木を致さねば
太宰の家が立ちませぬ ヲヲそうなくては

叶うまい この方の?迚(とて)も 得心すれば
身の出世 栄花(栄華)を咲かすこの一枝 川へ
流すが知らせの返答 盛りながらに流
るるは吉左右(さう) 花を散らして枝ばかり流るる
ならば ?が絶命と思われよ いかにも

この方もこの一枝 娘の命生け花を 散ら
さぬ様に致しましょう ヲヲサ今一時が忝い
の瀬ごし この国境は生死(しょうじ)の境 返答
の善悪に寄って 遺恨に遺恨を
重ぬるか サアこれまでの意趣を流して

中吉野川と落ち合うか 先ずそれまでは
双方の領分 お捌きを待っておりま
すと 詞峙(ことば・そばだ)つ親と親 山と 大和
路分かれても かわらぬ紀の路恩
愛の 胸は霞に埋もれし 庵(いおり)の

内に別れ入る 立派にいいは放し
ても定かに知らぬ子の心 覚束なく
も呼ぶ子鳥 娘々と谷の戸に 音
のう初音雛鳥も 母の機嫌をさし
足に 嬶様ようぞ 今日(こんにち)はお目出とう

存じますと 武家の行儀の三つ指
に かたい程猶親子のしたしみ ヲヲよう
飾りが出来ました きょうはそなたの顔
持ちもよさそうで 一入めでたい 母も
祝うて献上のこの花 供えてたも いく

つに成ってもひな祭りは嬉しい物
女子供共なんなりと 娘が気に合う遊び
をして 随分と勇めてくれと いつに勝(すぐ)
れし後室の 機嫌は訴訟のよい出
汐 今のをちゃっと 乗り出して御ろうじ

ませと 嬪に腰押されてもとやかう
といい そそくれの別れ髪 イヤのう
雛鳥 背だけ(丈)延びた娘を 親の傍に引き
付けて有れば 結句(けっく)病の種 それで急に
思案を極めて そなたによい殿御を

持たす 嫁入りさすが嬉しいか エエハテ気遣い
しやんな 可愛い娘の一生を任す夫
そなたの気に入らぬ男を 何の母が持た
そうで ナア嬪共 ハイハイ左様でござります
お気の通った後室様 嫁入りの先は

大かた今のナ こがるる君でござりま
しょうと 押し推当てども得手勝手 誰に
か縁を組紐に 胸は真紅の ふさがる箱
取り出し 妹背をならぶる雛の日は嫁入りの
吉日 この箱の主(あるじ)は極まる殿御 雛の御前

で夫定め そなたの夫というは誰
有ろう 入鹿大臣殿じゃわいの ええそんなら
わqたしを嫁入りさうsとは ヲヲ太宰の
小貮が娘雛鳥 美人の聞え叡聞(えいぶん)
に達し 入内させよと有難い勅諚(ちょくじょう)

エエイ はっとびっくりうろうろと詞は涙 ぐむ
ばかり ヲヲ肝が潰れる筈 夫と申すも恐れ
多い 一天の君を聟に取る家の面
目 日本国にこの上のない嫁入りの随一
果報な娘 この様な目出たい事が有る

物か ナア女子共 ハイハイお目出たいと申そう
か いっそ乱騒ぎでござりますと 立ち合い
違(たが)いの嫁入りに 菊も桔梗もなげ
首の 二人は小腹立て行く 母の心も
色々に 咲き分けの枝に取り出だし 親のゆる

さぬ云いかわし 徒(いたずら)は叱って返らず 一旦
思い初めた男 いつ迄も立て通すが女
の操 破りやとは言わぬが 貞女の立て様(よう)が
有りそうな物 とっくりと思案しや この
花は八重一重 忝いに不和なる親々の

心揃えぬ二つの花 一つ枝に取り結び 切り
放すに離されぬ悪縁の仇花 今
そなたの心次第で 当時入鹿大臣の
深山嵐に吹きちらされ 久我之助は腹
切らねばならぬぞや 雛鳥と縁を切って

入鹿様へ降参すれば 清船も命を
助かる しらせは川へ流す桜 ちるか散ら
ぬか身の納まり 時に従う風に靡(なび)き
君が手生けの花になれば 八重も一重
も恙(つつが)のう九重の内に傅(かしず)るる互いの
幸い 恋しと思う久我之助 助けうと殺
そうと 今の返事のたった一つ 貞女の
立て様(よう) サアサア見たいと 恋も情けも弁えて
義理の柵(しがらみ)せきとめても 涙せき上げ
/\ながら 母様段々聞き訳けました お詞は

背きませぬ そんなら得心して入内
してたもるか アイアイ ヲヲ嬉しや でかしゃった
/\ それでこそ貞女なれ 別れぬ雲
井の宮仕え この家の娘と笑われな
きょうより内裏上臈の 髪も改め

すべらかし 祝うて母が結い直してやり
ましょと いそいそ立ちは立ちながら 娘の
心思いやり 別れの櫛のはのなさも
解きほどかれぬ浮き思い 重き背山
の庵の内 父が前に謹んで 久我之助が

心底聞こし召し分けられ 切腹御赦免下
さるる事 身に取っていかばかり 大慶至極
と手を突けば 黙然たる大判事 やや打ち
うるむ目を開き 今朝入鹿大臣 此
大判事を召し出し 先帝寵愛の釆女(うねめ)

身を投げ死たりとは偽り その方がせがれ
久我之助 人知れぬ方へ落しやりしに極ま
れば 必定汝が方に匿いし有るべしとの
難題 元来(もとより)知らぬ大判事 よくよく思えば
釆女の御難をさけん為 猿沢の池に

入水の体にもてなして 密かに落し
参らせしは 中々久我之助が智恵で
ない 鎌足公の指図を受けてのはからい
と 知ったは身もきょうが始め 親にも隠し
包みしは 大事を漏らさぬ心の金打(きんんちょう) 若

輩者には神妙の仕方 ハア出かしたり
と思うに付け 邪智深き入鹿 久我之助
が降参せば 命を助けん連れ来たれと 情の
詞は釣り寄せて 拷問にかけん謀(はかりごと)責め
殺さるる苦しみより切腹さすれば釆女

の詮議の根を断つ大功 天下の主の
御為には何?の一人など 葎(むぐら)に生える
草一本 引抜くよりも些細な事と 涙
一滴こぼさぬは武士の表 子の可愛う
ない者が凡そ 生有る者に有ろうか 余り

健気な子に恥じて親が介錯して
くれる 侍の綺羅を飾り いかめしく横
たえし大小 ?が首を切る刀とは 五十
年来知らざりしと 老いの悔みに清船
も 親の慈悲心有りがた涙 命二つ有る

ならば 君には死して忠義を立て 父には
生きて養育の御恩を送り申さんに 今
生の残念 これ一つと 顔を見上げ見おろし
てわっとひれ伏す親子の誠 こなたの
亭には母後室 サアサア目出たい そなたの

名の雛鳥を 其の儘の内裏の表雛 装
束の付け様も この女雛と見合わせて サアサア
早うと有りければ 恨めしげに打ち守り
女夫一対いつ迄も添いとげるこそ雛の
徳 思うお人に引き離され 何楽しみ

の女御后 茨の絹の十二単 雛の姿
も恨めしと 取って打ち付け?板に ころりと
落ちし女雛の首 驚く母の胸板に
必死と極まる娘の命 包めどせきくる
はらはら涙 娘十代さすというたは偽り

真この様に首切って渡すのじゃわいのう
エエそんならほんぼんに 貞女を立てさせ下
さりますか 忝いありがたいと 伏し拝む
手を取って ノウ入内せずに死ぬるのを
それ程に嬉しがる 娘の心しらいで

なろうか あっと受けても自害して 死ぬる
覚悟は知りながら そなたの死ぬる事聞い
たら 思い合うた久我之助 供に自害召さ
れうも知れぬ せめて一人は助けたさ 一旦得
心したふしで 母が手ずからといた髪は

下げ髪じゃない 成敗のかき上げ髪 介錯
の支度じゃわいの 高いも低いも姫ごぜ
の 夫というはたった一人 穢らわしい玉の
輿 何の母も嬉しかろ 祝言こそせね
心ばかりは久我之助が 宿の妻と思うて

死にや エエそれ程に思う中 一日半時添わし
もせず さいの河原へやるかいのと 引き寄せ/\
雛鳥も膝に取り付き抱き付き 忝さと嬉し
さと逢わで別るる名残の涙 一つに落ちる
三ツ瀬川 川を隔てて清船が 最後

の観念悪びれず 焼き刃直ぐなる魂の
九寸五分取り直し 腹にぐっと突き立てる
ヤレ暫く引き廻すな 覚悟の切腹せく
事はない コリャ冥途の血脈(けちみゃく)読みさしの
無量品(ほん) 親が読誦(どくじゅ)する間 一生の

名残女が顔(つら) 一目見てなぜ死なぬ イヤ
存じもよらず この後に及んで 左程狼
狽(うろたえ)た未練な性根はござりませぬ 去り
ながら 今わの際の御願い 私相果てしと
聞かば 義理に繋がれ雛鳥もとも(?)に生

害と申すべし 左有る時は太宰の家も
断絶 暫くの間ながら 切腹の儀は
お隠しなされ 降参招致致せし体に
後室方へおしらせ有らば 女も得心仕り
入内いたせば彼が為 不義の汚名は

受けたれ共 是ぞ色に迷わぬ潔白 ヲヲ
でかしたよく気が付いた 年来立てぬく
武士の意地 不和な中程義理深し
命を捨つるは天下の為 助けるは又家の為
気遣いせずと最後を清う 花は

三吉野侍の手本になれといさぎよく
いえど心の 乱れ咲きあたら桜の若者を
ちらす惜しさと不便さと 小枝にそそ
ぐ血の涙落ちて 波間に流れ行く
それ共しらず喜ぶ雛鳥 アレアレ花が

流るるは 嬉しや久我様のお身に恙(つつが)
のないしるし 私は冥途へ参じます
千年も万年も 御無事で長生き遊
ばして 未来で添うて下さんせと心で
いうが暇乞い 思い置く事云い置く事 のう

何んにもござんせぬ 片時(へんし)も早うかか様
切って/\と身を惜しまぬ 紙子の覚悟
に励まされ 胸を定めて取り上げれど 刀は
鞘に錆付く如く 離れかねたる血筋
の絆 今切り殺す雛鳥を 無事と知

する返事の桜 同じく川に浮かぶれば
ハア嬉しや これぞ雛鳥が十代の
しらせ 久我之助が心の安堵 釆女
の方の御有家(ありか)は 最前申し上げる通り
この世に心残りなし 御苦労ながら

御介錯 サアサアかか様切っていの 未練にご
ざんす母様と泣かぬ顔するいじらしさ
刀持っても大盤石 思いは同じ
大判事 子よりも親の四苦八苦
命もちりじり 日もちりじり

そうじゃ 早や西に入る日輪は娘が
お迎い 弥陀の来迎 西方浄土へ
導き給え 南無阿弥陀仏と目を
閉じて 思い切ったる首諸共 わっと泣く
声答ゆる谺(こだま) 肝に徹して大判

事 刀かかりと落ちたる障子 ヤア雛鳥
が首討ったり 久我殿は腹切ってか ハア
しなしたりとどうど座し 悔やむも泣く
も一時に呆れて詞も なかりしが
良(やや)有って定高声を上げ 入鹿大臣へ

差し上げる雛鳥が首 御検使請け取り
下されと 呼ばわる声を吹き送る 風の
案内(あない)に大判事嘆きの姿改めて
衣紋繕いしずしずとおり立ち 川辺
の柳腰 娘の首をかき抱き 大判事様

わけては何んにも申しませぬ 御子息の
御命はどうぞと思うた甲斐もない
あえない有様 お前様のお心も推
量致しておりまする 添うに添われぬ
悪縁を 思い合うたが互いの因果

この方の娘も添いたい/\と思い死に あんまり
不便(不憫)に存じます せめて久我之助殿
の息有る中に この首をその方へお渡し申すが 娘
を嫁入りさす心 実(げ)に尤も 嫁は大和聟は
紀伊国 妹背の山の中に落つる 吉野

の川の水盃 桜の林の大嶋臺 めで
とう祝言さしましょうわい そんなら
これまでの心もとけて ハテ互いに?(あいあけ)
同士(どし) エエ忝いと悦ぶも後の祭り
ほんに背たけ伸びた者を いつまでも

子供の様に 思うてくらすは親の習い
あまやかした雛の道具 一人子を殺し
て何にしょう 後に置く程涙の種 嬪共
其の一式 残らず川へ流れ灌頂(かんじょう) 未来へ
送るか 嫁入り道具 行器(ほがい)長持 犬張子

小袖 箪笥の幾棹も 命ながらえ
居るならば 一世一度の送り物 五丁七丁
続く程 びび(美々)しうせんと楽しみに 思うた
事は引かえて 水に成ったる水葬礼 大名
の子の嫁入り 乗り物さえも中々に 筐(かたみ)

も仇の爪琴に 首取り乗する弘誓(ぐぜい)の
船あなたの岸より彼の(かの)岸に流るる
血汐清船が 今際の顔ばせ見る親
の 口に祝言心に称名 千秋万来の
千箱の玉の緒も切れて 今は敢えなき此

死顔 生きている中この様に 聟よ嫁よ
というならば いかばかり悦こばんに 領分の
遺恨より 意地に意地を立て通す
其の上重なる入鹿の疑い中直るにも
直られぬ 義理に成ったが二人が不運

あれ程思い詰めた嫁 何の入鹿に従おう
迚も死なねばならぬ子供 一時(とき)に殺したは
未来で早う添わしてやりたさ 言いあわ
さねど後室にも 是まで不和な
大判事を 婭(あいやけ・相聟)と思し召せばこそ 躮に

立ちて一人の娘 ヲヲよくぞお手にかけ
られし 過分に存ずる定高殿
アア勿体ない 其お礼はあちら
こちら ふつつかな娘ゆえ大事の
お子を御切腹 器量筋目も

すぐれた殿御 夫に持った果報
者 とはいいながら あれ程まで
手汐にかけて育てた子を 又手
にかけて切る心 サ推量致して
おる 武士の覚悟はつねながら

まさかの時は取り乱し 介錯仕遅れ
面目ない イエイエそれでめでたい此
祝言 是がほんの葬(そう)よ嫁入り
一代一度の祝言に 聟殿の無紋
の上下(かみしも) 首ばかりの嫁御寮に

対面しょうとはしらなんだ 夫も
子供が遁れぬ寿命 兎に
も角にも世の中の事云う文字
に死の声の 有るも定まる宿業
と隔つ心親々の積る思いの

山々は 解けて流れて 吉野川
いとど漲るばかりなり 涙払う
て大判事首かき上げて声高く
躮清船承れ 人間最後の一念
によって輪廻の生(しょう)を引くとかや

忠義に死ぬる汝が魂魄君父の
影身に付き添うて 朝敵退治の
勝ち軍(いくさ)を草葉のかげより見物
せよ 今雛鳥とあらためて親が
ゆるして盡(じん)未来五百生まで

かわらぬ夫婦 忠臣貞女の操
を立て死したる者と高声(こうしょう)に 閻
魔の廰(庁)を名乗って通れ なむ
成仏得脱と 唱うる声の聞え
てや物得いわねどあわす手を

あわせかねたるこの世の別れ 早や日
もくれて人顔も見えず庵の霧
隠れ うづむ(埋む?)娘のなき顔は
こなたの山にとどむれど 首は
背山に検使の役目 我が子の介錯

涙の雛 よしや世の中憂き事は いつか
たえまの 大和路や 後に妹山 先立つ
背山 恩愛道理をせき下す 涙の
川瀬 三吉野の花を 見捨て 出て行く




躮・せがれ


返事


やや(稍?やゝ?)


葎・むぐら




?板 (椽板・えんいた)







 


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読んでみた お傳地獄

「お伝地獄 」 那枝完二・著  小村雪岱・画


市「お伝」
伝「あい」
市「おれ、どうでも気が済まねえかえら、やっぱりおめえは先へ帰(けえ)ンねえ」
伝「あたしを帰してお前さん、どこぞへ行く気じゃないのかえ」

  お伝は市十郎の手をぐっと抓った





しかしまた
見れば見る程何んと云う美しい肌であろう
たとえば咲きほこる李(すもも)の花の花弁を
下から静かに撫で上げたような胸のあたりに、
こんもりとうず高く盛り上がった二つの乳房は
二十の処女(はたちのきむすめ)にも優って艶々しく、
触ればそのまま指が滑り落ちるであろうと想われるまでに張り切って
その乳房から緩く流れ出た腹部の起伏は、再び腰のあたりに
なよらかな弧を描いて股から脛(はぎ)へと鯉の背のような線を
惜しげもなく投げている美しさ





浪之助「お伝」
  伝「え」
浪之助「もっとこっちへ寄ンねえ」
  伝「あい」
浪之助「おめえ夜っぴて俥で帰(けえ)って来た上に、あんな騒ぎをやったんで、
    くたびれたろう」
  伝「いえ、ちっともくたびれてなんざいやァしないよ。少しやそっとくたびれたって
    お前さんが喜んでくれた顔を見りやァあたしやもうそれで沢山さ。そんなことより
    ねえお前さん、東京へ出掛けるのはいつにしようねえ」





?「義理もへちまもありやァしません。鰻が御池?なれると(?)なりァ
  馬車道はおろか程ヶ谷へでもお供しまさァね
伝「そりゃァ有難う。じゃァ善は急げだから、そこいらで俥をひろって行きましょうよ」
?「そ、そんな無駄なこたァなさらねえでも」
伝「いいえ歩いて行っちゃ大変だもの」

   お伝はもとより腹に一計案じているのであろう
   通り掛りの二人乗りを呼びとめると聊(いささ)か
   てれ気味の?吉に速く乗るようにと奨めた




高橋お伝wikipedia によると、
お伝が最後の斬首刑を受けた罪人という説があるようだ。最後の斬首刑の話なら『明治百話』で読んだことがある。冒頭一話目から生々しい打ち首の話がショッキングだった覚えがあるが、あの女囚がお伝だったか。『明治百話』では、最後の首斬り役人の回想録として彼が職務を遂行する最後の一日の様子が語られていたが、いよいよ刑執行の段、その女囚は始めは毅然としていたもののいざとなって暴れたため討ち損じてしまい、女は一息に死ねずに苦しんだ、という顛末だったと記憶する。まさに「お傳地獄」無惨なや。

『明治百話』の最後の首斬り役人はこの人だと思う。
山田浅右衛門wikipedia

『お傳地獄』を書いた小説家
那枝完二wikipedia

『お傳地獄』の挿絵を描いた画家 
小村雪岱wikipedia






 

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読んでみた 歌麿・お半長右衛門

お半長右衛門(歌麿)

おやぢのてまへ
おきぬが
おもわくも

もふこうなつてなんのかまふ
ものか
きこえ来
ほうも
おもてむき
ばかり

いわば
十四や
そこいらの
そなたと
こういう事
をしては
せけんの
人の
わらいのたね
ぎり
しらづと
いわれへ
よふが 人て
なしといわれよふが
??さへ(たつ?)すりゃア
かなふ事はねへナア
おはん

おししゃう
さんの
おしへには
女といふ
ものハ
おつとゝいふハ
いつしやうにたつた
ひとりだから
よるもひるもせい
だしてたんと
とぼすがかんしんと
ふたりとはだをふらぬ
ゆへ三人まへをしいつけろとさ


(長右衛門)
親父の手前 お絹が思惑も
もうこうなってなんの構うものか
聞え来る方も表向きばかり
謂わば十四やそこいらのそなたと
こういう事をしては世間の笑いの種
義理知らずと言われようが
人でなしと言われようが
????すりゃア
かなう事はねえなァ お半

(お半)
お師匠さんの教えには
女というものは
夫というは一生に一人だから
夜も昼も精出して
たんととぼすが肝心と
二人と肌を振らぬゆえ
三人前をしいつけろとさ


 おしまい。若干意味不明。
 お半の小尻がいかにも14歳。


何すりゃァ?








 

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